建物の「快適」を作る!業務用空調のはたらきと種類とは?

業務用空調のはたらきと種類とは?

 

建物に流れる空気を調整し、快適な環境を作るのが空調の役割。最も身近な空調設備といえばご家庭のエアコンを思い浮かべる方がほとんどではないでしょうか。多くの人が滞在するオフィスビルや学校といった大型の施設にも同じく空調が備わっています。

今回の記事では、空調のしくみを解説し、業務用空調の種類についてご紹介します。

1.知っているようで知らない、「空調」とは?

空調とは「空気調和」の略語となります。わたしたちを取り囲む空気には、窒素や酸素、呼気に含まれる二酸化炭素、水蒸気のほか、埃や花粉などといった物質も含まれています。目には見えないそれらの要素を含んだ空気を、適切な状態へと処理することが空調システムの役割です。

空調システムが「調和」する要素は大きく4つあり、「空気の温度」、「湿度」、「気流」、「空気の汚れ(清浄度)」に分けられます。これらの要素を「調和」することで、そこに滞在する人にとって過ごしやすい環境を作るのが空調システムです。空調の対象となる空間の大きさや使われ方によっても条件は異なるため、用途に合った空調が必要となります。

家庭用の空調としてはエアコンが思い浮かぶかと思いますが、一般的な家庭用エアコンは空調システムではなく「冷暖房設備」という分類になります。その名のとおり「空気の温度」を暖めたり冷やしたりする機能を持つ機器のため、湿度や空気の汚れの調整はできません。

一方、店舗や公共施設などといった大型の建物には業務用空調が使われており、種類によっては温度だけではなく、気流の制御や空気の清浄なども可能となります。このように、さまざまな空気の状態に対応できるものを「空調設備」と呼びます。

2.空調システムのしくみ

空気の調和を行うには、さまざまな働きを持った複数の機能が必要です。空調システムを構成する設備は大きくわけて以下の3つとなります。

 

熱源装置

熱を生み出す、捨てる設備。冷却塔、冷却水ポンプ、給水設備などから構成されている。

空調機

空気の浄化、冷却、加熱、加湿や除湿を行う設備。各空間に快適な空気を送るため、空気の状態を調整する役割がある。

搬送装置

熱源装置と空調機の間で熱を運ぶ設備。液体と気体をそれぞれ運び、冷温水や水蒸気、冷媒の搬送のほか、外気や配管内の空気を循環させる働きを持つ。

これらが基本システムとなり、熱や空気が循環することによって空気を快適な状態に保っています。また、その送風方法によっても違いがあり、一本の配管から建物全てに同一の調整を行う「定風量方式」と、部屋によって送風量を細やかに変えられる「変風量方式」があります。

定風量方式では、管理が容易である反面、部屋ごとの調節ができないため、各環境によって過不足が生じる可能性があります。一方、変風量方式では、各部屋に適した空調を行うため省エネにも役立ちますが、換気量が不足する可能性があるということを注意しなければなりません。

3.業務用空調の種類とは?

空調システムは設備の配置方法によって、中央式(セントラル式)分散式(個別パッケージ式)という2つの種類に分けられます。大きな違いは熱源の制御方法にあり、中央式では中央管理室で熱源を一括管理し、分散式では各フロアに熱源が配置されます。

2つのシステムを詳しくご説明します。

中央式(セントラル式)

大型ビルで採用されることが多く、一括で建物全体の空調をコントロールできる点がメリットです。しかし、各フロアでオンオフの切り替えや温度の調整ができない場合があり、柔軟な対応が難しいというデメリットもあります。

分散式(個別パッケージ式)

小~中規模の建物で採用され、部屋ごとに冷暖房のオンオフや風量の調整ができる点がメリットです。中央式に比べて自由度が高く、それぞれの状態に合わせた空気環境を作ることができますが、使用した分だけエネルギーを消費するため、フロアごとの電気料金が不安定になる場合もあります。

それぞれのメリット・デメリットを補う方法として、両方のシステムを併用するという方法もあります。建物自体は中央式を採用しつつも、部分的に熱源を分散するという併用方式で、コアタイム以外の空調や、部屋ごとの温度や風量を調整できます。

片方のみを採用する場合に比べ、省エネや電気料金コストの削減にも役立つほか、より快適な空気環境を作ることができます。

4.空調の自動制御で省エネ効果も?

最近では、技術の進化により空調の自動制御が可能となっています。自動制御機器によって室内の温度や湿度をセンサーで読み取って自動で調整したり、熱源装置を安全に稼働させたりできます。

家庭用空調から業務用空調にいたるまで徐々に広まりつつある技術であり、データに基づいた適切な空調管理を機械が行い、より快適な空気が届けられるようになります。手動システムで人間の肌感覚だけで空調を管理すると、無駄が生じる場合があります。自動制御によって適切に管理することで、エネルギーの節約が可能です。

まとめ

建物において「空調」とは、快適な環境づくりの肝となる要素です。建物によってそこに滞在する人の数や行動量はさまざまで、必要な空調もそれぞれ。建物に合わせた適切な空調設計が求められます。また、環境配慮への関心が高まっていることもあり、既存空調システムを省エネルギー性の高いシステムへ切り替えるということも今後必要となるのではないでしょうか。

天山設備設計では、エコロジーかつクリーンな空調設備によって、快適な建物づくりをしています。空調設備の新設、補修、交換などでお困りの方はぜひ一度ご相談ください。

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