消火設備の設計ってどんなこと?身近なところで火災に備えるエキスパート

消火設備の設計ってどんなこと?

 

「消火設備」ってどのようなものかご存知でしょうか。聞きなれない言葉ですが、消火器やスプリンクラーなど、火災の延焼を防ぐためのものです。消火設備には様々な種類があり、法律等で設置基準が細かく定められています。そして、どのような消火設備を建物のどこに配置するか、といったことを考えるのが消火設備設計です。

今回は消火設備設計について詳しくご紹介します。

1.消火設備とは?

消火設備とは、建物で万が一火災が発生した際に延焼を防ぐための設備です。消火するものと言うと消火器が思い浮かびますが、ほかにも消火栓設備とか、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備など、色々な種類の消火設備があります。

消火設備は、人の命や財産を火災から守るためのものなので、設置すべき施設や設置方法等は消防法や建築基準法、関連法令等によって細かく定められています。

なお、消火設備のほか、非常ベルや自動火災報知設備などの「警報設備」、避難はしごや避難階段、誘導灯などの「避難設備」を合わせて「消防用設備」と総称されます。

消火設備の点検

ある程度以上の大きさの建物等については、消火設備が万一の火災の際にきちんと機能するよう、定期的な点検が義務付けられています。具体的には、延べ床面積が1000平方メートル以上の共同住宅、事務所、ホテル、デパート、飲食店などです。点検は、半年に1回、消防設備に異常がないかをチェックします。また、年に1回は設備を実際に作動させて動作確認します。

消火設備にはこんなものがある

代表的な消火設備をいくつかご紹介しましょう。

1.スプリンクラー設備

スプリンクラー設備は、火災を自動的に感知し、放水を行ないます。部屋の天井などにスプリンクラーヘッドが設置されていますが、水源や配管、消火ポンプなどと連動しています。

2.水噴霧消火設備

水噴霧消火設備は霧状の水を噴霧する設備です。スプリンクラーと似ていますが、スプリンクラーよりも水の粒が細かいので、周囲の熱を奪う冷却効果や、蒸気で酸素を遮断する延焼防止効果が期待できます。トンネルや貯蔵施設などによく使用されます。

3.屋内消火栓設備

屋内消火栓設備は、消火器では消しきれないほどの火災が発生した際、屋内にいる人が消火するための設備です。火災が発生してから消防車が到着するまでには時間を要することがあるので、それまでの初期消火を目的としています。商業施設やホテル、旅館、病院、映画館などの各種施設でノズルやホース等が収められている箱をご覧になったことがあるかもしれません。あの箱が屋内消火栓設備です。建物の規模や構造等によって設置基準が定められています。

4.泡消火設備

泡消火設備は、水に専用の消火薬剤を混ぜ、泡状に放出します。泡が酸素を遮断するので延焼防止効果が期待できます。

5.不活性ガス消火設備

不活性ガス消火設備は、二酸化炭素、窒素などの消火剤を発生させ、酸素の濃度を低くすることで消火します。ただし、不活性ガスは人命への影響もあり得るので、安全対策も万全に行ないます。

3.消火設備の設計とは?

万が一、火災が発生した際、初期消火が適切に行なわれるかどうかで被害の度合いが変わります。建物の規模や構造、用途などによって、消火設備をきちんと設置しておくことで、万一の際の被害を最小限にすることが可能となります。そこで住宅、オフィス、商業施設、工場などの建物や、貯蔵施設、トンネル、船舶など様々な場所に消火設備を設置することが法令で義務付けられています。

建物等のどこにどのような消火設備を設置するのかを具体的に考えるのが消火設備設計です。設置基準は法令で細かく定められているので、それを順守するのはもちろんですが、ほかにも建物等を使用する人の利便性や用途等によって適した設備を選択したり、適切な設置場所を選んだりして具体的な図面を作成します。設備や施工に係るコストや設置後の点検等についても考慮して、クライアントに提案を行ないます。

このように、消火設備設計を行う人は、人命や財産を火災から守るための仕事をしており、防火のエキスパートと言えます。

4.用途に合わせた消火設備設計

消火設備設計は、建物の用途、規模等を踏まえて行います。いくつか例を挙げてご紹介します。

1.マンションの消火設備設計

マンションの防火対策としては、各部屋への火災感知器やスプリンクラー、消火器の設置のほか、ベランダから避難できるよう避難口、避難通路等を合わせて整備します。

2.大型ショッピングセンター

大型ショッピングセンターは、吹き抜けの空間が多く設けられ、天井が高いことが特徴ですので、きちんと消火できるようスプリンクラーや火災報知設備等を整備します。厨房設備がある場合は、高感度のセンサーを設置し、強力な消火薬剤を噴霧できるようにしておきます。

3.工場

工場には、石油や天然ガス、薬品、鉱物など様々な原材料、エネルギー源があります。引火すれば危険なものも多いことから、法令で取扱物別に泡消火設備や消火器等の設置が義務付けられています。必要に応じてウォーターミストやエアロゾルを用いた消火装置などを併用して安全性を高めます。

4.駐車場

自動車には燃料が積まれているため、万が一、駐車場で火災が発生すると延焼の危険があります。そこで、駐車場の面積等に応じて、駐車場用の泡消火設備や消火器の設置が義務付けられています。必要に応じて粉末消火設備等を併用します。

5.美術館

美術館では、美術品を火災から守ることに加え、水や消火剤によって美術品が汚れたり損傷したりすることを防ぐ必要があります。そこで、不活性ガスにより酸素濃度を低くして消火する不活性ガス消火設備がよく用いられます。最近では、人命への影響が少ない不活性ガスを用いた消火設備も開発されており、消火中でも避難ができることから実際に導入されはじめています。

まとめ

消火設備には建物の用途や規模等によって様々な種類があり、その設計や設置基準等は法令で細かく定められています。株式会社天山設備設計では、消火設備はもとより給排水設備、空調設備、電気設備等の設計も可能です。福岡で消火設備等の設計をお考えの方は、ぜひご相談ください。

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